ベースプレートとは?
ベースプレートは、プレス金型において他の部品や構造を支えるための土台となる極めて重要な部品です。
各部品や部位を取り付けるための基盤として機能し、金型の安定性と精度を確保する役割を果たします。
そのため、緻密な精度や加工方法が求められる部品です。
今回の記事では、ベースプレートの製作を得意とする弊社が、製作の際に特に気をつけて取り組んでいるポイントや、使用している治具などをご紹介いたします。
「公差」と「嵌め合いの感覚」はイコールではない
「公差」とは、設計上許容される寸法の範囲です。製図や設計段階で指定される数値的な範囲で、部品の加工精度を定義します。
例えば、プレートの図面において、ポケット加工部位の公差を「±0.002mm」「+0.003mmまでとする」という注記が記載されることがあります。
このように図面に指示された公差内でプレートを製作することは非常に重要なポイントですが、数値のみでは表すことが出来ないものが、「嵌め合い」です。
「嵌め合いの感覚」は、実際に部品が組み合わされたときのフィット具合や感触に関するもので、感覚的な側面が強いです。これは、部品同士がどの程度の抵抗でスムーズに嵌まるか、あるいは締まり具合や遊びがどれだけあるかを指します。
客観的な数値で管理された「公差」と違い、「嵌め合いの感覚」は、数値では表せない主観的な要素も含んでおり、また、同じ公差範囲内でも嵌め合いの感覚は異なる場合があります。
以前では、社内でも製作したプレートを組み付ける際に、「今回のプレートはちょうどよく部品が嵌まる」「キツい」「緩い」など、その都度異なる声が上がることがあったため、
改善点として、お互いの嵌め合いの感覚を確認したうえで、加工に入る必要があると判断いたしました。
そこで、弊社では嵌め合いのレベルを確認できるよう、写真のような治具を製作いたしました。
写真のそれぞれのポケットは1個ずつ大きさが異なる作りになっており、その差はなんと「0.001mm(1μm)」ずつという、非常に細かい数値で分かれております。
僅かな数値の差ではありますが、嵌合する部品を挿入する際の各ポケットへの入り具合の感覚の違いをお客様にも確認していただき、
その金型の実際の使用条件や操作性に基づくよう、より最適な部品になるよう緻密に打ち合わせを行い、お客様の要望に合ったプレート加工を行っております。
これにより、「金型の組み付けに何の問題もありませんでした」「ちょうどいい嵌め合いによってスムーズに型組みが完了しました」と、ありがたいお声をいただけるようになりました。
「平行度・垂直度ゼロ」による最高の加工精度
このようなお客様のご要望にお応えするには、プレート加工に使用するワイヤー放電加工機の管理や測定も重要なポイントになります。
ワイヤー加工機でプレート加工を行う前に、「平行度」「垂直度」を必ず調整します。
特にこの「垂直度」は、プレート製作において最重要視しなければならない大切な数値です。
弊社では以前、上記写真の前・後ろにある2本のバーをワイヤー加工機のテーブルに設置し、
その上にプレートを載せてその上で治具を置いて垂直度を確認しておりました。
しかしながら、さらにゼロを追いかけたいという意向のもと、
自社でオリジナルの基準器を製作し、バーの上に乗せて使用することで、
ワイヤー加工機に対して、ワイヤー線を垂直度(U軸・V軸)をゼロに設定できるようになりました。
この手法が定着したことにより、垂直度のプレートの精度も一段と良くなりました。
このように治具を有効活用することで、高精度のワイヤー加工を実現しております。
「治具研レス」で効率的に、最高の精密プレートをご提供します
近年までは、非常に高い精度を要求する金型において、パンチプレートにサブガイドポストを挿入する穴は、限りなくゼロを要求されるため、治具研加工を施していただき、社内に戻して加工を継続するという方法を取っておりました。
上記のように、近年では、我々の「垂直に対する思い」、そしてお客様との細かな打ち合わせによる感覚の共有と、緻密なワイヤー加工機のセッティングにより、非常に高精度な加工が行えるようになったため、
加工後の治具研削加工を行わないことも増えております。
これにより、加工の工程がシンプルになり、作業効率や生産性の向上やコスト削減など、大きなメリットが生み出されており、これまでのお客様からも非常に高い評価をいただいております。
今後も満足度の高いベースプレート加工を行ってまいりますので、
お困りごとやご相談がございましたら、ぜひとも弊社までお問い合わせください。