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バスバーとは?その役割と製造業での利用法をわかりやすく解説


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私たちが普段乗っている自動車や、日々使用しているスマートフォン、パソコンなどの電子機器。これらがスムーズに動くためには、電力が効率的に供給される必要があります。その裏側を支えているのが「バスバー」と呼ばれる部品です。

例えば、自動車の電気システムでは、エンジンやバッテリー、モーターなど複数の部品間で電力を的確に・効率的に分配することが求められます。同様に、電子機器内部でも回路全体へ効率的に電力を供給する役割が必要です。バスバーは、これらの要求を満たしながら、機器の性能向上や小型化にも貢献しています。

今回の記事では、当サイトを運営し、順送プレスの金型の設計からバスバー等プレス部品量産までの実績を豊富に持つ株式会社三國工業所が、自動車業界や電子機器業界等で注目されるバスバーの役割や特徴をわかりやすく解説します。

バスバーとは?基本的な定義と特徴

弊社が製造した銅製・自動車業界向けのバスバーの写真

バスバー(busbar)は、電気エネルギーを効率的に伝送・分配するための導体・導電部品です。主に銅やアルミニウムといった高導電性の金属で製造され、形状は平板状や棒状が一般的です。上図の部品は弊社が製造したバスバーで、複雑形状の曲げ・プレス加工により製造したバスバーとなります。バスバーは、電力を流す「道(bus)」のような役割を果たし、電気設備や配電盤、制御盤、さらには電子機器や自動車の電気系統に至るまで、幅広い分野で利用されています。

バスバーの最大の特徴は、その高い導電性にあります。電力の損失を最小限に抑えつつ、複数の装置へ均等に電力を分配できるため、大規模な配電設備や精密機器に欠かせない存在です。また、使用される金属によって性能が異なり、たとえば銅は導電性が非常に高く、熱伝導率も優れているため、放熱が重要な用途に最適です。一方で、アルミニウムは軽量でコストを抑えられるため、電気自動車や航空機などの軽量化が求められる分野で採用されています。

さらに、バスバーは機械的強度(外部からの力に耐える能力)と耐久性に優れていることも特筆すべき点です。しっかりと固定された構造で、振動や外部からの衝撃に強いため、自動車や産業用機械といった厳しい使用環境でも安定した性能を発揮します。また、ケーブル配線と比較して設置や接続が簡単で、シンプルな構造を持つため、機器全体のコンパクト化にも貢献します。

このように、バスバーは電力の効率的な供給を実現するために重要な部品であり、その特性に応じてさまざまな分野で利用されています。自動車業界や電子機器、精密機器業界など、電力管理が求められるあらゆる現場で活躍するバスバーは、現代の便利な社会の形成の一翼を担った製造業を支える重要な部品の一つです。

バスバーは電力を効率的に伝送・分配する役割を果たすため、その材料には高い導電性や耐久性が求められます。主に使用されるのはアルミニウムの2種類の金属で、それぞれの特性によって用途が異なります。

銅はバスバー材料として最も一般的で、優れた導電性を誇ります。電気抵抗が低いため、電力損失を最小限に抑えつつ高い電流を流すことができます。また、熱伝導率も高いため、発熱を効率よく放散でき、放熱が重要な用途に最適です。さらに、機械的強度や加工性にも優れ、複雑な形状への対応が可能です。腐食に対しては弱い一面もありますが、錫や銀のメッキを施すことで耐久性を向上させることができます。銅バスバーは主に配電盤や自動車内部品、電子機器、電力変換装置で使用されています。

アルミニウムは銅に次いで一般的なバスバー材料で、特に軽量性が求められる用途で採用されています。銅と比べて密度が約3分の1であるため、軽量化が重要な電気自動車や航空機などに適しています。また、価格が安価であるため、コスト削減を重視する用途にも向いています。一方で、導電性は銅に比べてやや劣りますが、厚みや幅を増やすことで補完可能です。また、酸化により表面が白化する特性があるため、適切な処理を施して使用されます。

バスバーの材料としては、銅やアルミニウムが主流ですが、一部では特殊な用途や環境に対応するために、ニッケルや銀、ステンレス、金といった他の材料が使用されることもあります。これらの材料は、それぞれ独自の特性を持ち、特定の条件下での優れた性能を発揮します。ただし、コストが高いため、使用は非常に限定的です。以下に、それぞれの材料の特性と用途について詳しく説明します。

  • 金材

金は、非常に高い耐腐食性を持ち、電気接触性にも優れた特性があります。高い導電性を持つだけでなく、酸化しにくい特性から、信頼性が極めて重要な航空宇宙や医療分野の特殊機器でのバスバー材料として使用されることがあります。ただし、金も銀と同様に非常に高価な材料であるため、主材としてではなく、接点部分やメッキ用途で用いられることがほとんどです。

  • ニッケル材

ニッケルは、耐腐食性や耐熱性に優れており、化学工場や特殊な高温環境で使用されるバスバー材料として注目されています。また、ニッケルは比較的高い強度を持つため、振動や機械的負荷が大きい環境にも適しています。ただし、銅やアルミニウムに比べて導電性はやや低いため、選定には用途に応じた判断が必要です。

  • 銀材

銀は、金属中で最も高い導電性を持ち、電力損失をほぼゼロに抑えることができます。そのため、極めて高い精度が要求される電子機器や特殊な高周波用途に使用されます。また、腐食にも強く、接点部分に銀メッキが施されることも一般的です。ただし、銀材自体の価格は非常に高いため、純銀のバスバーは限定的な環境でしか採用されません。

  • ステンレス材

ステンレスは、耐腐食性と機械的強度に優れている一方で、導電性は銅やアルミニウムに比べて劣ります。そのため、ステンレスはバスバーの主材としてよりも、過酷な環境下での補強材やサポート材として使用されることが一般的です。また、ステンレスの表面は酸化被膜によって保護されているため、湿度が高い環境や塩害のある場所での使用にも適しています。


これらの材料は、それぞれの特性を生かしながら、特殊な環境や要件に応じて慎重に選定されます。たとえば、ニッケルやステンレスは耐久性を求める用途に、銀や金は高い導電性や接触性が要求される用途に使用されます。高コストがネックではあるものの、適切な材料を選択することで、バスバーの性能を最大限に引き出すことができます。

主なバスバーの形状の種類と活用シーン

バスバーは、電力を効率的に分配・伝送する役割を果たすため、その用途や設置環境に応じたさまざまな形状が存在します。これらの形状は、電流の流れを最適化するだけでなく、スペースの有効活用や振動への対応など、特定のニーズに応じて設計されています。以下に、主なバスバーの形状の種類と特徴をご紹介します。

  • フラットバスバー 平型バスバー

フラットバスバーは、最も一般的なバスバーの形状で、薄い平板状のデザインが特徴です。主に銅やアルミニウムで製造され、電力を効率的に伝送するための基本形状として広く利用されています。この形状は、電流の流れをスムーズに保つだけでなく、表面積が広いため放熱性にも優れています。特に配電盤や制御盤、電子機器内部など、設備全体の電力管理が重要な場所で使用されます。また、構造がシンプルなため加工しやすく、必要に応じて穴あけやメッキ処理を施すことで、さらなる機能性を付加することが可能です。さらに、配線を簡素化し、スペースの有効活用が図れる点も大きなメリットです。多用途に対応できるフラットバスバーは、現代の製造業における電力供給の標準的な選択肢と言えるでしょう。

  • L型バスバー、L字バスバー

L型バスバー(L字バスバー)は、L字型に曲げられたデザインが特徴で、角度が必要な接続箇所や限られたスペースへの配線に最適な形状です。たとえば、自動車内部の狭い配線スペースや電力設備の複雑な配線経路など、さまざまな環境に柔軟に対応できます。この形状は、異なる高さや角度の接続点をスムーズに繋ぐため、従来のケーブル配線に比べて設置の手間を大幅に軽減します。また、電力伝送に必要な性能を確保しながら、配線の美観を保つことができるため、制御盤や電子装置などで採用されることが多いです。さらに、L型の曲げ加工は専用の機械で精密に行われ、安定した電力供給を実現します。設計の柔軟性と高い実用性が特徴です。

  • U型バスバー(U字バスバー)

U型バスバーは、その名の通り、U字型に成形された形状で、並行する複数の回路間を接続する際や特定の機器への電力供給に利用されます。この形状は、電流が集中的に流れる箇所での使用に最適であり、特に大電流が必要な産業設備や配電盤内で多く見られます。U型のデザインにより、複数の回路を効率的に接続できるため、配線の簡素化が図れ、メンテナンスの手間も削減できます。また、機械的な強度も高く、振動や衝撃に対しても安定した性能を発揮します。さらに、U型バスバーは、スペース効率を最大化する設計に適しており、機器の小型化や効率化が求められる場面でその効果を発揮します。

弊社所有の放電加工機群(西部電機 MM500S等)

  • Z型バスバー/S型バスバー

Z型/S型バスバーは、Z字型、S字型に曲げられた形状が特徴で、異なる高さや位置の接続箇所をつなぐ際に使用されます。この形状は、電力変換装置や分電盤など、複雑な設計が必要な設備で重要な役割を果たします。Z型/S型の設計により、上下方向の高さや左右の位置の違いを調整できるため、設置の柔軟性が向上します。また、この形状は配線全体をスリムに保ち、限られたスペースで効率的な電力伝送を可能にします。さらに、Z型/S型バスバーは、精密な曲げ加工によって製造され、設計通りの高精度な電気接続を実現します。そのため、電力損失を最小限に抑えながら、安定した電力供給が可能です。

弊社製作の複雑形状のバスバー

  • 複雑形状バスバー/フレキシブルバスバー

複雑形状を有するバスバー(フレキシブルバスバー、オーダーメイドバスバー)は、柔軟性を持つ特殊な形状を持ちます。製品の高性能化に向けて、振動や熱膨張等考えられる課題に対応できる特殊形状な設計が特徴です。この形状は、高性能化が求められる精密機器や自動車、衝撃の多い産業機器や発電設備で活躍します。特に、振動の激しい自動車や機械設備で採用されることが多く、長寿命化を実現します。設置の自由度が高く、複雑な経路にも柔軟に対応可能ですが、プレス量産用の金型の設計および加工には技術力が求められます。


 ここでは、バスバーの形状の種類と特徴について、主だったものをピックアップし説明しました。これらのバスバーの形状は、それぞれの特徴を生かして、配線の効率化や設備全体の性能向上に貢献します。適切な形状を選ぶことで、電力の伝送効率を最大化し、設計上の課題を解決することが可能です。用途や要件に応じて、最適な形状を選定することが重要です。
 当社はシンプルな形状はもちろん、特に強みを持つのが複雑形状バスバー向けの金型設計と部品量産であり、順送プレス型と工場のスマート化を推進し、高品質・低価格のサービスの提供が可能な環境を整えております。バスバー(ブスバー)に関するお困りごとがございましたら、技術的な相談からでも歓迎いたしますので、下記フォームよりお問い合わせください。

バスバーが使用される主な業界分野や産業機器

次に、バスバーが使用される主な業界分野や産業機器について、改めて説明いたします。バスバーは、電力の効率的な伝送と分配を可能にする重要な部品として、さまざまな業界や産業機器で幅広く活用されています。その用途は多岐にわたり、エネルギー効率の向上や設備のコンパクト化、信頼性の向上を求めるあらゆる分野で欠かせない存在となっています。以下に、主な業界分野と産業機器の例を挙げて解説します。

  • 自動車業界

自動車業界では、特に現在環境問題への対策の観点でも注目されている電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の電気システムにおいて、バスバーが重要な役割を果たします。バッテリーからモーターやインバータへ電力を供給する経路として、バスバーは高電流を効率的に伝送します。従来のケーブル配線に比べて小型軽量で振動にも強いため、自動車の構造に適しています。また、車載用電子制御ユニット(ECU)や充電ステーションの電力配分にもバスバーが使用されています。

  • 電子機器業界

電子機器/精密電子機器の分野では、現代の利便化を急速に進めたスマートフォンやパソコンなどの小型デバイスからサーバーやデータセンターまで、さまざまな規模でバスバーが活用されています。特に、データセンターでは、膨大な電力を効率的に分配する必要があり、フラットバスバーや多層バスバーが使用されるケースが多いです。また、最近ではAI技術の発展により、コンピュータ内の関連機器(グラフィックボード、CPU等)の高性能化やコンピュータの新たな設計(量子コンピュータなど)が進められており、バスバーの需要と小型化や複雑形状バスバーのニーズは高まると考えられます。精密電子機器内部では、高周波特性を考慮したバスバー設計が求められ、銀メッキや絶縁加工を施したバスバーが採用されることが多いです。

  • エネルギー関連産業

エネルギー分野では、発電所や変電所をはじめ、再生可能エネルギー設備においてもバスバーは重要な役割を果たします。太陽光発電や風力発電では、大規模な電力を効率的に分配するため、高い信頼性と耐久性が求められます。また、揚水式発電所や蓄電池システムでは、エネルギーの貯蔵・放出を効率的に行うため、多層構造のバスバーが採用されます。これらの用途では、耐熱性、耐腐食性、放熱性が特に重視され、エネルギー効率を最大化する設計が求められます。バスバーはこれらの要件を満たし、設備全体の性能向上と信頼性確保に大きく寄与しています。

  • 医療機器分野

医療機器分野では、MRIやCTスキャナーといった高精度な電力供給が必要な機器にバスバーが使用されています。特にMRIのような高電力消費機器では、効率的な電流伝達と放熱が装置の安定動作を支えています。また、小型化が進む医療機器において、絶縁加工や特殊メッキを施したバスバーは、省スペース化や信頼性向上に寄与しています。さらに、医療機器は安全性が極めて重要であり、バスバーの高精度設計と耐久性は、患者の安全を守るうえで欠かせない存在となっています。


以上のように、バスバーは自動車業界や電子機器業界、エネルギー関連産業、医療機器分野など、幅広い分野で重要な役割を果たしています。それぞれの業界が求める特性や用途に応じて、バスバーの形状や材料、設計が最適化されることで、信頼性の高い電力供給が実現されています。また、バスバーの小型化や高精度化といった技術革新は、産業全体の発展を支える重要な要素となっています。現代社会のさらなる利便性向上や環境負荷軽減に向けて、バスバーはこれからも欠かせない部品として活躍し続けるでしょう。

弊社のバスバーの製作事例

それでは、実際に弊社がプレス量産を行った

自動車業界向け複雑形状バスバー

こちらは弊社にて製造した自動車業界向けの大電流送電に用いられる、複雑形状のバスバーになります。先端のU字型バス部分や、横からの写真を見て頂くと(クリックで拡大表示が可能です)S字やZ字とも表現できない緻密な曲げを要するバスバーとなっております。
弊社にて順送プレスでの金型の設計・製作から実施しており、長寿命かつメンテナンス性を高めた設計を行い、量産ロット数は月10,000ヶ、金型寿命は、spm(分間ショット数150)の生産スピードにおいて、1億ショットとなる高品質な金型設計を行い、量産まで対応しました。また、受注より部品納品までが約1ヵ月の短納期の案件でしたが、弊社の順送プレス金型の設計の多数実績から得たノウハウと、工場のスマート化の推進による24時間稼働も可能な自動量産・検査体制も活かして、対応を行った製品となります。

材質C1020R-1/2
サイズ1.5×36×22[mm]
量産ロット数月10,000ヶ
公差レベル±0.1mm
納期目安/製作日数受注から約一カ月
金型設計弊社にて実施
spm[分間ショット数]150
金型寿命約1億ショット
業界・用途自動車/大電流送電用
弊社だから提供できたメリット金型の高寿命化、短納期対応

産業機器業界向け 電源用部品製造用順送プレス金型

ここで、バスバー部品とは異なり、バスバー用の金型とも異なり恐縮ですが、弊社が得意としている順送プレス金型について、電源用部品向けに製造した金型を一件紹介いたします。
こちらは電源用部品製造用のプレス金型となります。弊社にて金型の設計・製作を行いました。
量産部品に2種類の形状がありましたが、生産効率を向上するために、並行で生産可能な2種共取り・多数個取りを可能とした金型設計とした、弊社の順送型金型設計ノウハウを活かした製品となります。また、納期が1.5カ月の設計込みとなり、弊社が順送プレス金型の製造実績を多数保有しているため短納期が実現できております。

金型サイズ[mm]550×300×200mm
個取り数2個取り
納期目安約1.5ヶ月
業界・用途産業機器・電源用部品

まとめ~バスバーとは?~

本記事では、電力を効率的に伝送・分配する重要な部品であるバスバーについて、その基本的な定義や特徴、使用される材料や形状、さらに主な業界分野や産業機器への活用例を解説しました。バスバーは、単なる導電体にとどまらず、現代の自動車産業や電子機器分野、エネルギー関連産業、さらには医療機器の分野において、信頼性の高い電力供給を支える不可欠な部品となっています。

また、用途に応じた最適な材料選定や設計が、バスバーの性能を最大限に引き出し、それぞれの分野の発展を支えています。例えば、自動車業界における軽量化を重視したアルミニウムバスバーの採用や、精密電子機器での高周波特性を考慮した銀メッキの施されたバスバーは、その一例です。これらの特性を生かすことで、設備の省スペース化や効率化を実現しています。

順送プレス金型.comを運営する弊社、株式会社三國工業所はバスバーの設計から製造までを一貫して対応しており、豊富な実績と最新設備を駆使して、お客様の多様なニーズにお応えしております。自動車業界向けの複雑形状バスバーや電子機器向けの電源部品製造用バスバーなど、様々なバスバーの製造実績を有しており、幅広いバスバーの製造に対応可能です。また、順送プレス金型を駆使した高精度・高効率な製造プロセスにより、短納期対応やコスト削減も実現しています。

もし、バスバーの設計や製作でお困りごとがございましたら、技術的な相談や抽象的な部分がある内容に関しても歓迎いたしますので、ぜひ弊社にご相談ください。専門的な知識と豊富な実績で培った技術力をもとに、お客様にとって最善の提案をいたします。


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