Produced by

受付時間:8:00~17:00



順送プレス金型と高速プレス機による効率的な量産!~不良流出ゼロを目指す弊社の取り組みと、「リール品再検査機」のご紹介~


  1. 技術コラム
  2. 技術コラム
  3. 順送プレス金型と高速プレス機による効率的な量産!~不良流出ゼロを目指す弊社の取り組みと、「リール品再検査機」のご紹介~

キョーリ製ANEX-40Ⅱ
キョーリ製ANEX-40Ⅱ 弊社の主力プレス機のひとつで、40tプレス機の最高峰です
製造業において、生産スピードの向上と品質の安定は最重要視される非常に大切なテーマです。
このサイト名にもなっている「順送プレス金型」を用いた高速プレス機での生産は、
製品をリールに巻き取りながら連続的にプレス加工を行うため、効率的な量産が可能です。
しかし、このような高速生産の中では、最終製品の品質を維持するための厳しい管理が求められます。
今回のコラムでは、弊社がどのようにして量産性と品質管理を両立しているか、生産現場から出来る工夫をご紹介いたします。

「順送プレス金型」とは?

キョーリ製60tプレス「ANEX60Ⅱ」弊社の主力プレスのひとつです
キョーリ製60tプレス「ANEX60Ⅱ」 40t以外にも優秀なプレス機を所有しております
順送プレス金型とは、1枚の金属板に対して、段階的に加工を施しながら製品を成形するための金型です。
各ステージでさまざまな工程が進行し、最終的な形状や機能を持つ部品が完成します。
この連続的な加工プロセスにより、1分間に数百から数千個という膨大な量の製品が生産可能となり、特に自動車部品や電子部品のように、大量生産が求められる業界での利用が進んでいます。
弊社の過去のコラム「順送プレスとは?基本的な概要からメリット・デメリットについて専門メーカーが解説」にも詳しく説明をしておりますので、ご覧になっていただけますと幸いです。


製品をリールに巻き取るメリット

リールに製品が巻かれていく様子
巻取り機によってリールに製品が巻かれていく様子

この順送プレス品は、製品がキャリアでつながっている構造が一般的です。
つながったプレス品を製品が重ならないよう薄い層間紙をはさみながらリールに巻き取ることにより、
中断することなく大量生産が可能となり、製品あたりの生産時間が短縮されます。
その他にもリールでの巻取りによるメリットは数多くあり、例をあげると、

・保管・運搬の簡便化
リールに巻き取った製品はコンパクトにまとまり、保管や運搬が容易です。特に製品が長い部品や薄い部品の場合、リールでまとめることで扱いやすくなり、輸送時のスペースの節約や、梱包後の運搬のしやすさにもつながります。

・自動化しやすい
リール巻き取りは自動化工程と親和性が高く、次工程にそのまま供給するのが容易です。多くの製造設備はリールからの供給に対応しており、巻き上げたリールからそのままスムーズに次工程を行えるため、生産ライン全体の自動化にも寄与します。

・省人化への貢献
リール巻き取りによって、製品の一括搬送や供給が可能となり、人手による仕分けや運搬作業を減らすことができます。これにより、作業の効率化と省人化が図られ、人件費の削減や作業負担の軽減にもつながります。

生産途中も安心!画像検査装置による全数検査

弊社はリール巻取りを行うプレス機に必ず画像検査装置を設置しております
通常の量産プロセスでは、製品のスタートや変化点の発生時、巻き上がりの一部等を抜き取って検査を行う「サンプリング検査」が行われます。
しかし、リール巻き取りでの高速生産において、サンプリング検査だけでは、途中で発生する可能性のある微細な不具合や品質のバラつきを見逃すリスクが高まります。特に、金型やプレス機の微細な調整ミスや摩耗が原因で発生する不具合は、ランダム的に影響が出ることがあり、品質のばらつきが後の工程や顧客の元で発覚する可能性もあります。

こうしたリスクを軽減するために、弊社では画像検査装置を導入し、全数検査を実施しています。画像検査装置は、プレス加工された製品の形状や寸法、表面状態などを自動的に検出し、規格に合致していない製品を即座に識別してNG判定を行います。
NGが検出されたプレス機は生産を停止するため、NGが発生したまま生産することがなく、またリールに巻き取りながら生産していることにより、どのタイミングで発生したかが判明しやすく、品質チェックも柔軟に行えます。
全数検査を行う場合、検査装置が生産スピードに追従する必要があります。画像検査装置には高速な撮影および処理能力が求められ、弊社では生産ラインの速度に応じた検査システムを導入し、製品の多様な不具合をリアルタイムに検出することが可能です。
適切な処置やメンテナンスを素早く行うことが出来ると同時に、
NGが発生した際のトレーサビリティが確実なものになり、
さらには高価な金属材料のロスを防ぐことにもつながっております。


画像検査の設定方法や詳しい生産体制などのご説明も可能ですので、お気軽にご連絡ください。

お問い合わせはコチラ

品質保証のための革新的な取り組み「リール品再検査機」

このような取り組みによって、弊社の製品は納品後のクレームが大幅に削減され、安定した品質を維持できております。
お客様の安心していただくため、弊社への信頼を維持し続けるため、様々なアイディアを出し合いながら、
プレス品の量産に取り組んでおります。
その品質保証を確実に、不良品の社外流出をゼロに導くための、さらなる取り組みのひとつ、「リール品再検査機」をご紹介いたします。

「リール品再検査機」がコチラ!

巻き直し検査機
オー・ケイ・ワイシステム株式会社様製作の「リール品再検査機」
生産が終わり巻き取りが済んだ製品を再度検査することができる、「リール品再検査機」になります。
オー・ケイ・ワイシステム株式会社様に製作いただいたオーダーメイド品になります。
使用方法は極めてシンプルで、
上段に既に製品が巻き取られたリールをセットし、
レールから配置してある画像検査装置を通して、下段の空リールに巻き取りを行います。
異常がないことを確認したら、巻取り方向を元に戻すため、
下段に巻かれたリールを上段にセットし、
空リールを下段にセットして同様に巻取りを行えば、
簡単に巻き直しが完了する仕組みです。

プレス生産時にも上記のように画像検査装置による全数検査を行っておりますが、その際に発生した部位や、見逃した可能性のあるわずかな不具合も徹底的にチェックが行えます。
生産現場の品質の不安や悩みを解決する優れモノで、細かな部分に心遣いが見受けられる作りになっております。
下記にその機能を記載いたします。

「リール品再検査機」のココがスゴい!気配りポイントのご紹介

【全自動!】
・リールセットと画像検査の項目のセットの段取りさえしてしまえば、「巻き直しが自動で行える」という利点はこの上なく大きいと言えます。
従来この「巻き直し」を行う際には、作業台に回転テーブルを2台置き、一つに製品が巻かれたリールと、もう一つに空リールを置いて製品が移植できるように層間紙を繋ぎ、リールからリールに通っていく様子を拡大鏡を通しながら、手動で回転台をぐるぐる回しながら全数を目視で確認する・・・といった途方もない人力での見直しを実施していた時期もありましたが、
このリール品再検査機を使用すれば、作業者が付きっきりになることなく巻き直しを行うことができます。


【巻き直し時の干渉による不具合の心配いらず!】
操作盤もシンプル
操作盤は普段の巻取り機と同様で扱いやすい仕様に
製品は下段へ落下する自重の作用で巻き取りが行われるため、余計な負荷がかかりません
製品部分にモザイク処置を施しております
製品が上段から下段へ落下する自重を利用した巻き取りのため、余計なテンションが掛かること無く製品を巻き直すことが可能になります。
操作盤による回転スピードのコントロールも非常に容易で、手動では人の回すタイミングや余計な引っ張りで巻き直し作業中に変形が生じるリスクがあったため、
そのストレスがない巻き取り方法は非常に画期的です。念の為装置の下部分にはタッチセンサーを採用しておりますが、
リールの間を通っている赤外線センサーにより、巻き取りが残りわずかになった際に自動で停止するようになっているため、
「目を離していたら巻き直し品が床に落下してしまった」というトラブルも防ぐことができます。

【表も裏も、更には上も!】
全方向から見ることが可能です
巻き直しの際に通している画像検査装置は、通常の生産と同様のスペックの機種を使用して、
不具合の見逃しがないように確認を行っております。
リール品の巻き込み方向は、生産の際に「プレス作業指示書」によって必ず指示があり、
通常の生産ではその指示に従ってリールに製品を巻き取ってゆきます。
弊社では、画像検査のカメラはその製品がリールに巻かれていく進行方向に設置しており、
リールへと向かっていく面を撮影しながら、検査をしている状態になっております。
上記で説明をしたとおり、「巻き直し」は「一度巻かれた製品を他リールに巻き返し、また元のリールに巻き込む」のですが、
ということは、この機械によって「巻かれた製品」が一度「逆方向」に巻かれるプロセスを経るため、
巻き直しを行いつつ、通常の生産では検査を行わない、裏面の検査を行うことができるのです。
更にはカメラをもう一台設置してあり、上からの画像も撮影するので、
製品の細かなフレなど、異なる視点での画像検査も同時に進行できます。
再び正しい方向に巻き直す際も画像検査を通すため、
同じ製品を、①通常の量産、②逆巻き、③巻き直しと、トリプルチェックを自動で労力をかけず行うことが可能になりました。


【層間紙もムダにならない!】
層間紙を巻き取るこの部位にも工夫があります
リールに製品を巻く際には、「製品と製品が重ならないよう、薄い層間紙を挟み込みながらリールへ巻き取る」という説明を冒頭で行いましたが、
この巻き直しをする際にも層間紙は必要になります。
上段で層間紙を隣の台に排出しつつ、
下段で新たな層間紙とともにリールに巻き取ってゆく作業を行うのですが、
巻き直しによって外部に排出された層間紙はテンションが強くかかっており、台から取り外す際にバラバラになってしまったり、再利用が難しい場合があります。
スポッ!と取れます
そこで、この特別製の治具が活躍してくれるのです。
あらかじめ金属の棒に層間紙を挟んだ状態で巻き取りを進めることで、
終了した際に棒を外すことで隙間が生じ、
台からの取り外しがスムーズになり、巻き直しに再利用することが容易になります。
新たに層間紙を消費することなく、環境にも考慮したつくりになっております。

 まとめ

生産スピードの向上と品質の安定という製造業における永遠のテーマを、
弊社ではこれまでの経験や実績によるノウハウから徹底された管理を、
非常に優れた設備や、新しいアイデアから生み出された装置とともに日々追求しながらものづくりに励んでおります。

生産工場の見学も歓迎しておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせいただければと存じます。
これからも三國工業所をどうぞよろしくお願いいたします。






PAGE TOP