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金型の加工方法とは?種類や材料などの基礎知識や金型製作の流れについて解説!


  1. 技術コラム
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  3. 金型の加工方法とは?種類や材料などの基礎知識や金型製作の流れについて解説!

金型とは、金属で製作した型枠の総称であり、そこに金属やプラスチック、ゴムなどの材料を流し込んだり通過させたりすることにより連続して同一形状に加工することができます。プレス加工や射出成形、鍛造、鋳造など様々な分野での製品の生産に用いられており、現代の工業製品の大量生産において重要な役割を担っている存在の一つです。金型は、自動車のボディのような大型の製品から、スマートフォンやパソコン用部品などのような小型製品の製造まで幅広い分野で活用されています。その金型の製造工程においては、非常に高度な加工技術が要求されており、日本の加工技術は世界トップレベルを誇っています。

今回の記事では、創業以来金型設計・製作の多くの技術・ノウハウを保有する弊社が、金型に関する基礎知識から金型の種類や金型に用いられる材料・材質、金型の設計・加工方法、金型製作で活用されている最新技術まで詳しくご紹介します。

金型とは?~金型の基礎知識~

私たちが日々生活する道具で使われる部品や、量産品の多くは、金型を用いた量産によって作られている場合が多いです。金型は、プレス加工や射出成形などの製造工程において、金属やプラスチック、ゴムなどの多様な素材に対して特定の形状や精度を実現するために使用される専用の工具です。

金型は特に電子機器・医療系・自動車・航空機業界といった高い精度が要求される製品の加工に使用されることが多く、金型の品質精度は設計内容によって生産する製品の品質と生産効率が決定されます。

金型は「生産工学の王」であるとも表現されるほど、製造業での重要な資産であり、日本の経済成長を支えてきた貴重なノウハウの一つです。

金型にはマイクロメートル単位の正確さが求められ、金型を製造する際の精度が高ければ高いほど、最終製品の部品の精度が向上するほか、不良を作らずに大量生産することが可能となり、生産効率や製品の均一性が向上します。精巧かつ緻密な加工を行うためには、精密な金型を使用する必要があるのです
金型は用途に応じて、「パンチ(上型)」と「ダイ(下型)」の2つのパーツから構成され、プレス機械の上部に取り付けられたパンチが素材を押し込み、材料を支えるダイが受ける形で加工が行われます。この間に素材が圧力を受けて変形し、最終的に設計通りの形状になります。

金型には用途や加工方法、材質に応じて、多種多様な種類があり、大きく「開放型」と「密閉型」に分けられます。

  • 開放型

開放型では金型に金属を「押し付けて」成形します。主に板金加工や切断、穴あけなどのプレス加工に用いられる金型で、連続加工に適した構造のため、効率的に加工を行うことができます。

  • 密閉型

密閉型では金型に金属や樹脂を「流し込んで」成形します。主に鋳造や射出成形、押し出し成形などに使用されており、複雑な形状に適しています。

開放型のプレス加工の中でも、穴あけや切断を行うための「打ち抜き金型」、曲げ加工を行う「曲げ金型」、複数の加工を連続して行う「順送金型・複合型」などがあり、求める精度や品質により適している金型を使用します。
製品の複雑さや加工方法に合わせて多種多様な形状がある金型は、設計に高度な知識と技術が求められます。使用する材料や製造量、加工性、メンテナンス性、コストなど様々なポイントを踏まえ設計する必要があり、豊富な知識・経験が求められています。

次に、多様な金型の種類や分類に関して解説いたします。

前述した通り金型は、現代の製品の大量製造において欠かせない重要な役割を担っており、プレス加工や樹脂成形、鋳造など幅広い分野で必要不可欠な存在です。ここでは多種多様な金型の種類から代表的なものを下記にご紹介します。

プレス機に取り付けた金型の間に鋼板や非金属などの板材を配置し、上下から挟み込むことで成形する金型で、最も一般的な形状です。

プレス金型にも様々な分類があり、それぞれ成形する製品の特性や求められる条件によって、最適な金型を選択します。

以下に代表的なプレス金型の分類を紹介します。

  1. 打ち抜き金型:打ち抜き金型は、素材を切断するための金型です。パンチとダイの間に素材を挟み込み、圧力をかけて所定の形状に切り抜きます。特に薄い金属板の加工に適しています。自動車や家電、電子機器などの部品製造で広く使用されています
  1. 曲げ金型:曲げ金型は、金属板を所定の角度や曲率で曲げるために使用される金型です。主に自動車の部品や家電の外装など、複数の角度を持つ部品の製造に利用されます。金属の柔軟性を活かして、L字やU字、さらに複雑な形状にも対応できるのが特徴です。加工時には、角度や曲げの精度が求められるため、使用する材料や曲げ方法に合わせて、金型を設計します。高精度な曲げ加工、量産性が求められる分野で特に有効です。
  1. 絞り金型:絞り金型は、深絞り成形(金属板を引き延ばし、深い容器状や円筒形に成形する加工方法です。)により金属板を立体的な形状に成形する金型です。円筒状やボウル型、容器形状など、深さのある製品を作り出す際に用いられます。例えば、自動車のボディパーツや金属容器やカバー、より身近なところでは缶など、深い形状を持つ製品の製造に適しています。金属の変形を均等に行うためには高度な技術が必要であり、金属の厚みを維持しつつ複雑な形状を実現することができるのがこの金型の特徴です。
  1. 順送金型:プレス機の一回のストロークで複数の加工を連続的に行う金型で、弊社が金型の設計及び製品の量産を得意とする金型です。打ち抜き、曲げ、成形などの加工を工程ごとに進行させ、素材を段階的に完成品へと導きます。この連続的な加工により、高い生産性が実現されるため、自動車部品や電子部品のような品質の均一化及びコストの低減に向けて大量生産が必要な分野で多用されます。順送金型を使うことで、材料の無駄が少なく、加工の効率も大幅に向上します。

弊社は、中でも順送プレスを主軸に金型の設計・生産を行っております。順送金型の製造は複雑な工程管理と高度な制度が要求される、非常に難易度の高い金型ですが、弊社は多くの実績と高い技術力でお客様よりご支持をいただいております。

射出成形金型は、樹脂成形や金属粉末射出成形に使用されるモールド用の金型で、融解した樹脂や金属を方に注入し、冷却・固化し成形する金型です。

プラスチック製品や金属部品など、複雑な形状や細部を持つ製品の製造に適しており、軽量かつ耐久性のある製品の大量生産が可能です。

また、射出成形金型の中には冷却回路付きの金型や同一形状の製品を一度に複数成形できる金型など、生産効率を上げ、かつ均一な精度で大量に生産できる金型も使用されています。

引用:金型新聞

ダイカスト金型(ダイキャスト金型)は、アルミや亜鉛、マグネシウムなどの融解金属を高速・高圧で金型に流し込み成形する、ダイカスト鋳造で使用される金型です。

ダイカスト金型による鋳物は、自動車・精密機械・電気製品などの部品をはじめ家電や建築材料など様々な業界で活躍しています。特に自動車業界の場合、エネルギー効率に直結するため、部品の薄肉製造による軽量化が求められます。ダイカスト金型は、薄肉や複雑形状の部品を精密かつ効率的に製造することができます。

ダイカスト金型の中でも鋳造品の冷却効率を高めるため、冷却機構を備えた金型や、中空部や薄肉部などの複雑な内部構造をもつ製品に使用される中子付き金型など、製品の形によって金型を設計します。

一方で、マグネシウムなど誘爆性も高い材質を取り扱うので、細心の注意をはらった加工も求められます。

金属材料を鍛造金型を用いてたたいて強度を与えながら変形させて成形します。

鍛造金型では熱間鍛造と冷間鍛造で大きく分類されます。

熱間鍛造金型は加熱した素材を成形するための金型で、部品の強度や耐久性が求められる自動車部品の製造などに使用されます。冷間鍛造金型は常温で成形するための金型で、精密なすんポの製品や表面仕上げが必要な場合に用いられます。

鍛造金型を使用して製造された製品は、自動車のエンジン内部品やジェット機のファンなどといった重要保安部品などで使用されています。

上記の金型以外にも、タイヤや工業用部品などの製造に使用される「ゴム用金型」や、ガラスを材料としてボトルや食器類などを製造するための「ガラス用金型」なども一般的に使用されています。また、金属の粉末を金型に入れ焼き固めたり、加熱した粉末を圧縮したりなどで成形する「粉末治金用金型」も用いられています。

以上の金型はそれぞれの材料や製品の形状、目的や求められる特性などによって多種多様な金型が選定され、製品の精度や生産性、コスト効率に貢献しています。

金型に用いられる材料・材質

金型の設計及び製造においては、製品に求められる精度や仕様に応じて、適切な材料を選定することも重要となります。また、一般に量産に用いられる金型は、製造する製品の品質や製造コスト、金型の耐久性・加工性・熱処理性などの特性も重要な要素です。

それでは、硬い金属を加工するために用いられる金型の材料の代表的な例を紹介します。

  • 合金工具鋼(SKD、SKS)

工具鋼は、金型や切削工具、パンチなど耐摩耗性や高強度・高精度が求められる金型に使用される鋼材です。特に耐摩耗性、耐熱性、硬度が優れており、プレス加工や鍛造などの高負荷な作業に耐えられます。代表的な冷間工具鋼(低温、常温下で利用される鋼材)にはダイス鋼である「DC53」や「SKD11」、「SKS31」などがあり、金属を高精度に加工する際に多用されます。工具鋼は、素材の変形や摩耗に強いため、長期間の使用でも安定した性能を維持でき、メンテナンス頻度を抑えられることが特徴です。また、熱処理を施すことでさらに硬度や靭性が向上します。

  • 炭素工具鋼(SK)

炭素工具鋼は、炭素含有量が高い鋼材で、比較的安価でありながら、十分な硬度と切削性を持つため、汎用的な工具や金型に多用されます。代表的なものに「SK5」や「SK7」があり、特に小規模な加工や簡易な金型に適しています。切削性が良く加工性が高いことも特徴です。高い硬度がある一方で、耐熱性や耐摩耗性は工具鋼に比べてやや劣るため、高温や高負荷の環境での使用には不向きです。しかし、コストパフォーマンスに優れ、主に比較的簡易な加工や、低コストが求められる場合、短寿命が許容される金型、試作段階の金型の製造時に用いられることが多いです。

  • 高速度鋼(HSS)

高速度鋼は、切削工具や金型に広く使用される鋼材で、特に耐摩耗性や耐熱性に優れた特徴があります。HSSは、高温環境下でも硬度を維持できるため、通常の工具鋼に比べて熱に強く、熱が発生しやすい高速での加工に適しています。このため、金型において、精密な加工かつ量産性を求められる場面で特に重宝されます。
高速度鋼の主成分は、鉄にタングステン、モリブデン、クロムなどの合金元素を加えたもので、これらの成分が耐熱性や耐摩耗性を向上させます。HSSの加工は、鋳造や鍛造、熱処理などを経て行われ、硬度が高いため、寿命が長いという特性もあります。また、HSSは鋼材としての柔軟性があり、加工時の衝撃にも耐えるため、金型としての性能を最大限に引き出すことができます。プレス金型では、特に高速プレス加工において使用され、薄い金属板や高精度な部品を大量生産する際にその利点が発揮されます。高速度鋼の導入により、加工の効率性と品質が向上し、コスト削減にも寄与することができます。

  • 超硬合金

超硬合金は、主にタングステンカーバイドやコバルトを基にした合金で、非常に高い硬度と耐摩耗性を持つ材料です。この特性により、超硬合金は特に高負荷な過酷な環境での使用が求められるプレス金型や切削工具、圧縮成形などに多く用いられます。高い圧縮強度を持つため、厚い金属や硬い素材を扱う加工に適しています。また、摩耗性だけでなく、耐熱性や靱性も兼ね備えているため、金型の寿命が長く、頻繁なメンテナンスが不要です。したがって、特に高精度な成形や打ち抜き加工において、超硬合金が使用されます。例えば、自動車部品や電子機器の複雑な部品を大量に生産する際に、優れた精度を保ちながら効率的に加工することが可能です。超硬合金を使用することで、金型の耐久性が向上し、長期間安定した性能を維持できるため、製造コストの削減にも寄与します。一方で、超硬合金の金型を製造するための加工は難易度が上がり、コストも要するため、適切な場面での利用が望ましいです。

  • ステンレス鋼(SUS)

鋼を主成分として、クロムを主成分とする合金を加えた鋼材で、優れた耐腐食性を持っています。この特性により、ステンレス鋼は湿気や化学物質にさらされる環境でも劣化しにくく、金型や工具としての使用が広がっています。ステンレス鋼の耐食性は、クロムの含有量によって変わりますが、一般的には10.5%から30%程度のクロムを含むことで、優れた耐食性を実現します。プレス金型としてのステンレス鋼は、主に食品や医療機器、化学産業など、腐食が懸念されクリーン性も求められる分野で使用されます。耐摩耗性が求められる場合は、耐摩耗性の高いタイプ(例えば、SUS420J2等)が選ばれることが多いです。また、ステンレス鋼は加工性が良く、金型の製作時の高精度化も実現できる場合があります。

金型の設計及び製造においては、用いる材料・材質やどのような手法で、どのような形状に成形するかによって、強度・靭性・弾性などを加味しつつ検討する必要があります。また、製品に求められる精度や要求される耐久性・腐食性・摩耗性、これに加えコストとのバランスも、適切な材料を選定する重要な要素となり、設計/製作の豊富な実績とノウハウが求められます。

また、これらの材料・材質はほとんど切削/加工のしにくい「難削材」にあたり、加工には高い金型加工技術が求められるのです。

金型の設計と加工の流れ

金型はすべての製品の原型となるため、金型の加工精度は最終製品の品質を大きく左右します。金型製作には、一般的な部品加工に比べ、ミクロン単位の高精度な金型加工とそれを組み立てるための高い技術力・知識量が必要となります。ここでは、金型の設計から加工、仕上げまでの流れと注意すべきポイントについて解説します。

金型の加工の前に、ます最も重要となる要素である「金型設計」ですが、製品の仕様や機能、製造数、コストなど数々の項目について考慮し、最適な金型を検討する必要があります。こうした検討・決定事項から加工プログラムを準備するまでが金型設計の流れとなります。それでは金型設計の流れをご紹介します。

  1. 要件定義:はじめに依頼の仕様書や図面、3Dデータに基づき、製品の最終的な形状や寸法、材質、製造数量から製作時の問題点・注意事項、また、使用する機械の仕様や加工条件なども加味し要件を明確にしながら依頼者と打ち合わせを重ねます。さまざまな要件を余計なコストがかからないよう整理し定義することが重要です。

POINT

特にプレス金型の設計及び製作を外注する場合の注意点となりますが、外注先が円滑なコミュニケーションが可能であるかは、特に重要視すべきポイントです。高品質な金型の製造に向けて、製造を行う企業の実績と知識・技術は非常に重要な要素となり、特に、初期段階で仕様の明確化が出来ていないと、完成した金型が想定外の仕上がりになってしまうリスクが高まり、結果的に再製や修正などコストが増大する恐れがあります。

まず、外注先企業の実績が金型の用途に合っているか、技術的に信頼できるかをよく確認し、具体的な要求事項は文書や図面で明確に伝えましょう。加工する材料の種類や厚さ、製品の形状、精度要求、耐久性、量産時のサイクルタイムなど、あらゆる条件を詳細に示すことが必要で、認識のズレを未然に防ぐことが重要です。

  1. 設計図の作成:要件定義した内容を踏まえ、金型の設計図を作成します。この段階で加工の順序などの製造上の課題も考慮しながら、サイズ公差や表面粗さ、使用する材料、熱処理方法など細かに内容を決定し、金型の構造から成形精度と加工効率のバランスを検討しつつ設計図を作成します。また、順送プレス用金型の場合、部品がスムーズに取り出されるだけでなく、次の加工サイクルに悪影響を与えないよう、材料が確実に排出されることが求められるため、加工後の製品が円滑に排出されるための仕組みを設計することが非常に重要となります。こうした加工の問題点を含めた設計は豊富な経験を要するものであり、弊社の強みの一つとなっております。
  2. 加工データの作成:その後CADソフトを用いた3Dデータから、金型の強度のシミュレーションや樹脂成形の場合は融解樹脂などの流体をシミュレーション・流体解析など、CAE(Computer Aided Engineering)による解析を行い、細部の検証や再検討、再調整を行います。設計図と加工データが完成した後、金型の製造の工程へと移ります。

金型を製造するために、まず最初に行われる工程は「荒加工(前加工)」です。金型はブロック状の金属の塊を削ったり切ったりして成形していきます。実はこの金属の塊には、ブロック状に加工した際に発生した内部応力が残っているのです。そのため、10mm以上の大きな穴をあけたり、切込みを入れたりすることにより、応力を除去し、材料の歪みを取り除く必要があります。

また、この段階で「荒取り」も行われます。荒取りは、金属の不要な部分を大まかに金型の形に削り出す加工で、仕上げ加工時の負担を軽減する重要な工程です。具体的に、仕上げ寸法よりもやや大きく削り出したり、仕上げ寸法よりもやや小さく穴をあけるなどの工程を指します。

金型の加工では、荒取り後熱処理を行います。一般的な機械加工品はすべての機械加工の工程後熱処理を行いますが、高い精度を要求される金型の加工では、形状がわずかに変化する恐れがあるため、熱処理により硬化した範囲の中でマシニングによる精密加工を行えるよう、この段階で熱処理を行うことが一般的です。

金型の鋼材をマシニングセンタで切削し、さらにマシニングセンタでは対応できない複雑な加工や精度の高い加工は放電加工機やワイヤカット放電加工機などで加工されます。

  1. 切削加工
弊社保有DMG森精機Dura Vertical5080

マシニングセンタや旋盤、フライス盤、ジグボーラーなどのNC工作機械、必要に応じて汎用工作機械によって加工されます。複雑な3次元加工には5軸加工機などを用いて切削します。この切削加工で主要な部分を切削し、目的の形状に近づけていきます。マシニングによる切削加工は、エッジのついた形状やネジ・ピンなどの細かな加工に不向きなので、マシニングによる切削加工の後放電加工機やワイヤカット放電加工機などで工具などには削れない小さい形状の加工を行う必要があります。

  1. 放電加工
MM50B
弊社保有西部電機ワイヤー放電加工機

より精度の高い金型の加工や、熱処理された金型の加工には「放電加工」や「ワイヤカット」、「プラズマ加工」などの放電加工技術を用いて加工します。放電加工では、金型の鋼材と電極の間でアーク放電することにより、金型の表面を溶かして除去する加工方法です。マシニングによる切削加工では困難な、エッジ部やネジ・ピン穴などの硬く小さな形状の加工に一般的に用いられています。放電加工は切削加工と比べ、比較的加工速度は遅いですが、きれいで滑らかな加工面となるので研磨がしにくい箇所の加工に非常に向いています。

  1. プロファイルグラインダー、研削盤、研磨機
弊社保有AMADAグラフィカルプロファイルグラインダー

治具の加工においては、表面粗さの高精度化が最終製品の品質に大きく影響するため、研削盤、研磨機を用いた表面加工が非常に重要となります。中でも、当サイトを運営する三國工業所では、プロファイルグラインダーを導入しており、高精度な研削加工を実現します。

プロファイルグラインダーは、特に高精度が求められる形状や輪郭の研削加工を行うための専用機械で、ミクロン単位で精度が求められる金型の加工には必要不可欠です。工学システムを用いたプロファイル観察が可能で、研磨にも近い表面粗さや平坦度を精密にすることにより、最終製品の品質を向上させることができます。

また、プロファイルグラインダーによる精密な表面によって、金型(ダイ・パンチ)の摩擦も大幅に軽減することができ、金型の高寿命化に繋げることも可能です。金型寿命の管理は、生産効率やコスト削減において極めて重要です。金型は摩耗や損傷によって性能が低下しますが、長期的に大量生産を行う場合には寿命を延ばすためには、金型の表面の精密さは重要な要素です。

金型は複雑な構造となるため、組み合わせを考慮した金型部品も複雑な形状となります。また、この後に表面の仕上げや組み立てなど多工程になってしまう加工をいかに一貫して行うかの工程設計も重要となります。弊社では、業界トップレベルの設備群を保有しており、一貫して社内で最適な加工を行っており、コスト面でもお客様が安心できるご提案を強みにしております。

金型の形状が完成した後は、磨き・表面仕上げ加工を行い、組み立てていきます。磨き加工では、ダイヤモンドペーストやセラミック砥石などを使用して滑らかな表面や鏡面などに加工します。金型の磨き加工は基本的に手作業で行うため、非常に高度な熟練した技術力が要求されます。必要に応じて顕微鏡を用いるなど、目視や手触りによる細かな調整が必要となる重要な工程です。表面仕上げの後、ピンやスライド、入れ子などの必要な部品を入れ込み、最終的な上下型の干渉やスライド部分のチェックなどを確認しながら組み立てていきます。複雑な形状の金型の場合、当然組み立ても非常に難しい作業となります。こうした慎重な手作業の繰り返しで高品質かつ高精度な金型が仕上がっていくのです。

組み立て後、実際にプレス機に金型をセットし、ファーストトライを行います。この段階ではそれぞれの部位が設計通りに正しく駆動しているか、成形された製品がきれいに金型からはがれているか、製品の排出が問題なく行えているか、成形品が設計通り・不具合がないかなど、様々なチェック項目を基に動作を確認します。動作確認で問題が無ければ金型は完成となります。

金型製作での最新技術の活用ポイント

前述した通り、金型設計/製作/加工では豊富な知識や非常に高い熟練した加工技術が必要となります。こうした部分をテクノロジーの活用により、品質と作業効率を大幅に向上できる最新技術も近年では登場しております。もちろん全てを任せるのではなく、技術者が蓄積したノウハウ・技術とうまくバランスを取りながら活用し、人の技術をサポートすることが、金型設計/製作において大きな効果となり、今後の必要な動きとなってきます。

ここでは、金型設計/製作においての最新技術について活用ポイントを踏まえつついくつかご紹介します。

設計した3Dデータを基に、金型の内部で流体がどのように動作するのか、どのような形に成形されるのかなどを予測するシミュレーションの活用が近年増加しています。材料の流れや応力集中を事前に確認・調整することにより、金型の寿命を延ばす設計が可能になります。また、実際の加工前にシミュレーションにより不良発生を事前にモデリングすることが可能で、あらゆる問題を事前に解決することができるため、試作の回数やコストの削減に大きく貢献しています。さらに、シミュレーション結果を用いた事前学習により、技術者のスキル向上のツールとして使用されている場合もあります。

シミュレーション技術では主にCAE解析(Computer Aided Engineering)技術を基盤とし、金型製作における様々なパターンを解析できます。主に以下のシミュレーションに使用されています。

  • 構造解析:金型にかかる応力や変形をシミュレーションすることにより、耐久性を解析します。
  • 流動解析:樹脂や金属の流れをシミュレーションし、充填不良や気泡の発生を回避します。
  • 熱解析:冷却効率や熱膨張をシミュレーションすることにより、製品の精度を大幅に向上することが可能です。
  • 動的解析:順送型や複合型の金型における部品の動きを解析し、生産性を向上させます。

金型の組み立てや仕上げなどすべての工程の後に、実際にその金型を使ったトライの段階に移行します。トライで製作したサンプルの寸法精度で金型を評価し、必要に応じて金型を微調整し、設計通りの精度が出るまでトライと調整を繰り返す、金型製作の中で重要な工程の一つです。

これまではノギスなどを使った手動での寸法測定や、投影機を用いた輪郭照合などで精度を測定していましたが、時間や工数がかかり負担は大きいものでした。また、人が測定すると誤差は必ず生まれてしまいます。さらに、ワークの形状が複雑・小型の場合、人では物理的に測定が不可能であったり、ミクロン精度を求められる場合では限界があります。金型はその特性上切削よりも肉盛りによる修正に多くの手間がかかるため、測定誤差による削りすぎには最新の注意を払う必要があります。

弊社保有キーエンス画像寸法測定機

そこで導入が進められているのが、画像寸法測定器です。特に、弊社が保有しているキーエンス画像寸法測定器IMシリーズは、ステージにワークを置いてボタンを押すだけの簡単操作で、3秒で300か所を瞬間測定することができ、複数の同ワークを一括測定することも可能です。ミクロン単位の高精度な測定が可能で、測定の自動化によりオペレーターの操作ミスを軽減しています。

今まで寸法測定にかかっていた時間の大幅短縮ができ、かつミクロン単位の高精度な測定により測定誤差を解消。オペレーターの熟練度に依存しない、安定した測定が行えるようになりました。

弊社の金型設計・製作事例

それでは、実際に弊社が製作したプレス金型について、順送型を中心にご紹介します。弊社は創業以来金型設計・製作の多くの技術・ノウハウを保有しております。金型製作について多種多様な実績がございますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

自動車/車載用センサー部品金型

こちらは自動車/車載用センサー部品用のプレス金型となります。

弊社にて金型の設計・製作を行いました。
量産性が高いため、寿命設計にこだわっているほか、生産効率を上げるため排出部の設計にこだわっています。

また、求められる品質基準が高く、入念にトライアルを重ねて不良を最終製品の品質を高めた製品となります。

金型サイズ[mm]350×1000×220[mm]
個取り数1個取り
納期目安約2ヶ月
業界・用途自動車/車載用センサー部品

産業機器業界向け 電源用部品製造用順送プレス金型

こちらは電源用部品製造用のプレス金型となります。弊社にて金型の設計・製作を行いました。
2種類の形状がありますが生産効率の向上に向けて、並行で生産可能な2種共取り・多数個取りを可能としており、弊社の設計ノウハウを生かした製品となります。また、納期が1.5カ月の設計込みとなり、弊社が順送プレス金型の製造実績を多数保有しているため短納期が実現できております。

金型サイズ[mm]550×300×200mm
個取り数2個取り
納期目安約1.5ヶ月
業界・用途産業機器・電源用部品

まとめ~金型の加工方法とは?~

金型は、プレス加工や射出成形、鍛造、鋳造など様々な分野での製品の生産に用いられており、現代の工業製品の大量生産において欠かせない重要な役割を担っており、その設計と製作には高い加工技術と豊富な知識・ノウハウを必要とします。金型の設計と加工品質により、最終製品の生産性と品質が大きく左右されます。最新技術の導入により効率化と精度向上が求められています。

順送プレス金型.comを運営する弊社、株式会社三國工業所は創業以来、順送プレス専門メーカーとして金型の設計から、設計した金型を用いた量産対応まで、完全内製化にて豊富な実績を有しており、材料特性や高速量産に向けた高品質な金型設計を実現する高度な技術力、生産効率を向上させる工場のスマート化を積極的に進めていることを強みとしております。

また、弊社は業界トップクラスの豊富な最新設備を備えており、「短納期対応」や「公差が厳しい・難形状の製品の金型の設計」、「金型の設計・製作のみ(売り型)」と「量産対応(金型設計製作含む・金型支給の両者対応可能)」など、お客様の幅広いニーズに応えるサービスを提供しております。

プレス金型の設計・製作でお困りごとがございましたら、お気軽に弊社までご相談ください。


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