
プレス金型における金型プレートは、製品の形状を加工するために必要な金型の基本構造を形成する、非常に重要な部品です。プレートは金型全体の支持・保持、加工時にかかる力の分散、部品間の正確な位置決めなど、多くの役割を担っています。そのため、プレートの設計技術は、生産性や加工精度、金型の耐久性に直接影響を与える重要な要素です。
金型プレートは、金型の「土台」として機能し、プレス加工を安定して行うための基盤となる部品です。また、複数のパーツによって構成され、一般的に、上型となる「パンチホルダー」や下型となる「ダイホルダー」、金型全体の土台となる「ベースプレート」など、プレートには異なる役割を持つ複数の構成要素があります。これらを製品形状や加工工程に応じて適切に設計・配置することで、高精度かつ効率的な加工が可能になるのです。
さらに、金型プレートの製造には、特に金属部品の量産に用いる場合は高い強度と耐久性が求められるため、工具鋼や高張力鋼といった高硬度材料が使用されます。これらの材料は耐摩耗性や高負荷に耐えられる特性を持つ一方で、加工の難易度が高いことが特徴です。そのため、金型プレートを製造するには、熟練した技術者による高度な加工技術と豊富な経験が欠かせません。
今回の記事では、当サイトを運営する株式会社三國工業所が、創業以来中心的な事業としてきた順送プレスを基本とするプレス金型の設計と加工によって蓄積してきた経験とノウハウを活かして、初心者から専門家にも役立つ金型プレートに関する情報として、以下のトピックについて詳しく解説します:
- 金型プレートの種類とそれぞれの役割
- 使用される材料とその特性
- プレート製造に用いる加工技術と生産設備
金型プレートの種類・構成要素とそれぞれの役割

プレス金型は、高精度かつ効率的に製品を加工するための精密なツールであり、複数の部品やプレートが組み合わさって構成されています。それぞれの部品は特定の役割を果たし、全体として一体的に機能します。以下では、金型を構成する主要なプレートや部品の種類と、それぞれの役割について解説します。
- 上型プレート(パンチホルダー・トッププレート)
上型プレート(Top Plate)は、金型の上型を構成する部品であり、特にパンチを固定する役割を果たします。パンチは、加工材料を打ち抜いたり成形したりするための刃物であり、その機能を最大限に発揮するためには、上型プレートがパンチをしっかりと支え、安定した動作を可能にする必要があります。
上型プレートの設計が不十分だと、パンチが加工中に振動やズレを起こし、製品の加工精度が低下するだけでなく、パンチそのものの寿命も短くなってしまいます。そのため、上型プレートには高い剛性と耐久性が求められます。また、加工時に発生する摩耗や衝撃に耐えるため、工具鋼や焼き入れ処理を施した高硬度材料が使用されることが一般的です。
正確で効率的なプレス加工を実現するためには、上型プレート(パンチホルダー・トッププレート)の設計・製作が重要なポイントとなります。その安定性が、製品の品質や金型全体の耐久性を左右するといっても過言ではありません。
- 下型プレート(パンチホルダー・ボトムプレート)

下型プレートは、金型の下型であり、特にダイを固定する役割を果たします。ダイは、加工材料を支持しつつ、パンチが打ち抜いたり成形したりする際の受け皿として機能します。下型プレートは、このダイをしっかりと固定し、正確で安定した加工を実現するための土台として重要な役割を担っています。
上型プレートと同様に、下型プレートの設計が不十分であると、ダイが加工中にズレを起こし、双方の寿命を大きく縮める可能性や、振動の発生による、加工精度の低下を招きます。そのため、下型プレートにも高い剛性と耐久性が求められます。また、プレス加工時に発生する大きな力や摩耗に耐えるため、通常は工具鋼や高張力鋼などの高硬度材料が使用され、さらに焼き入れ処理や表面処理が施されることが多いです。
下型プレートには、ダイの正確な位置を保ちながら、加工中に発生する力を効率的に分散させる役割もあります。この力の分散は、金型全体や加工機にかかる負荷を軽減し、寿命を延ばすうえで重要です。また、適切なクリアランス(パンチとダイの間の隙間)を確保するために、下型プレートの設計・加工には高度な精度が必要です。
正確で高効率なプレス加工を実現するためには、下型プレート(ダイホルダー・ボトムプレート)の設計・製作は極めて重要です。その安定性が、製品品質と生産性の向上や金型の耐久性向上に大きく寄与します。
- ストリッパープレート
ストリッパープレートは、パンチと加工材料の間に挟まれた加工品やスクラップを取り除き、パンチを加工材料から分離させるための重要な部品です。プレス加工では、パンチが材料に穴を開けたり形状を成形したりする際に、製造される製品そのものや切子などスクラップがパンチに付着することがあります。この付着物が放置されると、量産時に継続的に行われるプレス加工の中で支障をきたし、加工精度の低下や金型の寿命を短くする原因となります。ストリッパープレートは、この問題を解決し、スムーズな加工工程を支えます。
ストリッパープレートは、パンチが材料に侵入した後、パンチを材料から引き抜く際に発生する力(ストリッピングフォース)を制御し、材料やパンチへの負担を軽減します。このため、ストリッパープレートには、耐摩耗性や高い剛性が求められます。一般的に、ストリッパープレートには硬度が高く、摩耗に強い材料(工具鋼や焼き入れ処理を施した鋼材など)が使用されることが多く、さらに表面処理が施される場合もあります。
ストリッパープレートの設計では、適切なガイド穴やクリアランス(パンチの通過する穴の直径とパンチ径の差)が極めて重要です。ガイド穴の精度が低いと、パンチが適切な位置を保てず、加工時に振動や歪みが発生しやすくなります。このような状況は、加工品の寸法精度や表面品質の低下、さらにはパンチの破損につながる可能性があります。
さらに、ストリッパープレートは金型全体の一部として、加工時の衝撃を吸収・分散する役割も担っています。この機能により、金型全体やプレス機への負荷が軽減され、金型の寿命や加工機の耐久性向上に寄与します。また、プレス加工時に発生する摩擦や熱による変形を最小限に抑えるため、ストリッパープレートの熱処理や表面処理技術が重要なポイントとなります。
- ガイドプレート
ガイドプレートは、パンチやダイなどの金型部品を正確な位置に導くための重要な部品です。プレス加工において、パンチが材料を加工する際には、パンチとダイが正確に位置関係を保ち、精密に動作する必要があります。ガイドプレートは、この位置決めと動作の安定性を確保するための役割を果たします。
ガイドプレートは、金型内の他の部品(特にパンチやストリッパープレート)と連動して動作します。パンチが上下運動を繰り返す間、ガイドプレートはパンチを正しい位置に保持し、その移動をスムーズにサポートします。このため、ガイドプレートには高い耐久性と寸法精度が求められます。パンチやストリッパープレートとの接触部分に適切なクリアランスを設けることが、金型全体の精度と寿命を左右する重要な要素となります。
ガイドプレートに使用される材料には、耐摩耗性と高い剛性を備えたものが選ばれます。一般的には工具鋼や硬質合金、または表面処理(窒化処理や硬質クロムメッキなど)を施した鋼材が用いられます。これにより、パンチや他の部品との接触による摩耗を最小限に抑え、長期間の安定した動作を実現します。
ガイドプレートの設計において重要なのは、正確なガイド穴の配置と加工精度です。ガイド穴の誤差が生じると、パンチがわずかに傾いたり振動を引き起こすことがあり、それが加工品の寸法精度や表面品質の低下、さらには金型の破損につながるリスクがあります。また、プレス加工の高速化に伴い、ガイドプレートが耐えるべき衝撃や摩擦が増大しているため、近年ではより高性能な材料やコーティング技術が求められています。
さらに、ガイドプレートは金型全体の剛性を向上させる役割も持っています。加工中に発生する力や振動を効率的に分散させることで、金型全体の耐久性を向上させ、プレス機への負荷を軽減します。特に高精度な加工が求められる現場では、ガイドプレートの精度と性能が生産性や製品品質に直結します。
- ベースプレート

弊社が制作したベースプレート群
ベースプレートは、金型全体の最下部に位置する、金型全体を支える基礎となる重要な部品です。金型の他の部品(上型、下型、ガイドピン、ストリッパープレートなど)を固定し、加工中に発生する力を受け止めて効率的に分散させる役割を果たします。プレス加工では、強い衝撃や振動が金型全体に伝わりますが、ベースプレートがこれを吸収し、安定した加工環境を提供します。
ベースプレートは、金型の各部品をしっかりと支持するため、高い剛性と寸法安定性が求められます。特に、大型や複雑な形状の金型では、加工中に発生する力が非常に大きくなるため、ベースプレートの材質や設計が金型全体の寿命に大きな影響を与えます。
ベースプレートに使用される材料は、耐衝撃性と耐摩耗性を備えたものが選ばれます。一般的に、機械構造用炭素鋼(例: S45C)や工具鋼などが使用されます。また、必要に応じて焼き入れや焼き戻し処理、表面処理(窒化処理やクロムメッキなど)が施されることもあります。これにより、加工中の摩耗や変形を防ぎ、長期間にわたって安定した性能を発揮します。
ベースプレートの設計において重要なのは、金型全体の寸法精度と剛性を確保しながら、効率的に加工中の力を分散させることです。例えば、ベースプレートに施されるボルト穴やピン穴の配置は、他の部品を正確に取り付けるための基準となるため、非常に高い加工精度が求められます。穴の位置や寸法に誤差があると、金型全体の位置ずれや加工精度の低下につながります。
さらに、ベースプレートはプレス機への金型のセットを容易にさせる役割も持たせます。プレス機への取り付け時には、金型全体の位置を安定させるため、プレス機との接合部の寸法や形状が正確に設計されている必要があります。また、金型の重量を均等に支えることで、プレス機への負担を軽減します。
ベースプレートの加工に関しては、別の記事でもご紹介しておりますので、詳しく気になる方は下記の記事も参照してください。
使用される材料とその特性

弊社が制作されているガイドプレートを含む金型関連部品や工具群。様々な金属材料を用いて製造しています。
繰り返しとなりますが、金型プレートは、プレス加工において金型を構成する重要な部品です。その性能はプレートの製造に利用する材料・材質に大きく依存し、適切な材料を選定することで金型の寿命を延ばし、加工精度・生産性を向上させることができます。本章では、金型プレートに使用される主な材料とそれぞれの特性について解説します。
金型プレートに使用する材料に求められる特性
まず、金型プレートに使用される材料に求められる特性に関して、簡単にまとめてみました。
- 高い剛性(曲がりにくく変形しにくい性質)
加工時に発生する振動や応力(部品にかかる外部からの力)を最小限に抑えるため、材料には高い剛性が求められます。剛性が低いと、加工精度が低下し、金型全体の寿命に悪影響を及ぼします。
- 耐摩耗性(摩耗しにくい性質)
プレス加工では部品同士が頻繁に接触するため、摩耗が発生しやすいです。耐摩耗性の高い材料を使用することで、金型の長寿命化が可能になります。
- 加工性(材料を削ったり切ったりしやすい性質・被加工性)
プレス加工に用いる金型は製品の量産に用いられるため、高品質な製品を作るためには、金型プレートの製造自体に高精度の加工が求められます。そのため、金型プレートに利用される材料には加工しやすく、複雑な形状を正確に製作できるための加工性(被加工性)や、他の耐摩耗性や熱処理までを考慮した材質の選定が重要となります。
- 耐衝撃性(衝撃を受けても壊れにくい性質)と靭性(割れにくく粘り強い性質)
主に金属のプレス加工では、強い圧力をかけることで部品を成形します。したがって、その際に発生するプレス加工中に発生する衝撃に耐えるため、材料には適度な靭性が必要です。靭性が不足していると、金型が割れたり欠けたりするリスクが高まります。
- 熱処理への適応性(焼き入れや焼き戻しにより特性を向上できる性質)
上述したように、金型に強く求められる性能の一つが耐久性です。この耐久性を向上させる方法として、金属の焼き入れ処理や表面処理が施されます。その際に材料が熱処理に適応する性質を持っていることが重要です。
金型プレートに使用される主な材料とその特性
それでは、金型プレートに使用される材料に求められる特性を理解していただいた上で、実際にどのような材料が使用されるのか、材料名も含めて紹介いたします。
- 機械構造用炭素鋼(例: S45C)
機械構造用炭素鋼は、コストパフォーマンスに優れた材料で、適度な強度(壊れにくい力)と加工性(削りやすさ)を兼ね備えています。金型の中でも比較的軽負荷の部品に使用されることが多く、表面処理や熱処理を施すことで耐摩耗性(擦れにくさ)や硬度(硬さ)を向上させることが可能です。
- 特性: 適度な強度と靭性、加工性が良好
- 用途: 中程度の負荷がかかる金型プレート
- 工具鋼(例: SKD11、SKH51)
工具鋼は、高い耐摩耗性(擦れにくさ)と硬度(硬さ)を持つ材料で、プレス加工のような過酷な環境でも長期間使用できます。特にSKD11は耐摩耗性と靭性(割れにくい性質)のバランスが良く、金型プレートやパンチ、ダイにも広く使用されています。
一方、SKH51は高速度鋼(高温下での硬度の保持、耐摩耗性、靭性、熱処理による耐久性の向上が可能な鋼材)として、特に高温(熱い環境)でも硬度を保持する特性を持ち、より高負荷な環境に適しています。
- 特性: 高硬度、高耐摩耗性、熱処理による性能向上
- 用途: 高精度が求められる部品や高負荷の金型プレート
- 高張力鋼(例: SCM440)
高張力鋼は、強度(壊れにくさ)と靭性(割れにくい性質)に優れ、衝撃に強い特性を持つ材料です。特に加工中に大きな応力(外部からの力)が発生する部品に適しており、焼き入れや焼き戻し処理を施すことでさらに性能を向上させることができます。
- 特性: 優れた靭性と耐衝撃性
- 用途: 衝撃が頻発する部品や大型金型プレート
- 硬質合金(例: タングステンカーバイド)
硬質合金は非常に高い硬度(硬さ)と耐摩耗性(擦れにくさ)を持ち、極めて過酷な環境下でも使用できる材料です。その硬度ゆえに加工が難しいものの、耐摩耗性が特に求められる部品に使用されます。
- 特性: 高硬度、極めて高い耐摩耗性
- 用途: 摩耗が激しい部品や特殊な加工(極小径の穴あけ加工や複雑な形状の加工)が必要な金型プレート
- アルミ合金(例: A5052)
アルミ合金は軽量(軽い材料)で加工性が高いため、試作金型や軽負荷の金型部品に使用されることがあります。軽量化が求められる用途に適していますが、耐摩耗性や硬度の点では他の材料に劣るため、使用範囲が限定されます。
- 特性: 軽量、加工性が高い。
- 用途: 試作や軽負荷の金型部品。
- ステンレス鋼(例: SUS304、SUS420)
ステンレス鋼(SUS材)は、優れた耐食性(錆びにくさ)と強度を持ち、特殊な条件下や耐久性が求められる金型プレートに使用されることがあります。 特に湿度の高い環境や、腐食のリスクがある場所での使用に適しており、長寿命でメンテナンスの手間を減らす効果があります。
SUS材の中でも代表的な SUS304 は、耐食性と加工性(削りやすさ、切りやすさ)のバランスが良く、幅広い用途に適しています。一方、SUS420 は硬化処理が可能で、高硬度と耐摩耗性を持ち、耐久性が求められる部品に向いています。
- 特性:
- 耐食性(錆びにくい): 腐食しやすい環境での長期使用に適しています。
- 強度(壊れにくさ): 高負荷条件下でも安定。
- 加工性(削りやすさ、切りやすさ): SUS304は優れているが、SUS420は硬度が高いため加工が難しい。
- 用途:
- SUS304: 軽負荷の金型部品や耐食性が重要な用途。
- SUS420: 高硬度が必要なストリッパープレートや耐久性が求められる部品。
金型プレートに使用される材料には、それぞれ特有の特性があり、用途に応じて適切に選定する必要があります。また、今回は代表的な素材を紹介しただけであり、必要に応じて、今回リストアップしていない材料を用いて金型を製造する場合もございます。高精度で長寿命な金型を実現するためには、材料の特性を理解し、加工条件や使用環境に最適な材料を選ぶことが重要です。金型の品質向上とコスト効率を両立させるためには、材料選定も大きな鍵となり、金型屋の腕とノウハウの見せどころにもなります。
プレート製造に用いる加工技術/生産設備
ここからは、プレートのものづくりに用いる加工技術と設備や工具などを解説します。前述した通り、金型プレートは複数の要素で構成されているほか、求められる役割と性能や材質も異なるため、様々な加工方法を適切に選択し、施す必要があります。実際に弊社が金型一式および金型プレートの製造に利用している設備も含めて説明いたします。
主な加工技術と対応する工作機械/設備
- フライス加工(利用設備:フライス盤・マシニングセンタ)
フライス加工は、回転する工具(エンドミルやフェイスミル)を使用して、金属を切削し、プレートの平面や溝、段差を加工する技術です。主に、プレートの基準面を整える加工や取り付け用の溝加工など、プレートの形状加工に用いる工作機械となります。
したがって、粗加工とも呼ばれる大まかな形状をつくるための最初の工程に用いられることも多い設備ですが、現在ではCNC機能はもちろん多軸加工なども可能とした精密加工が可能なマシニングセンタも多いため、万能な工作機械の一つです。
金型プレートの加工においては、前述の通り、平面加工・溝加工・段差の形成などに用います。この時も最終製品の精度を意識した工程設計と後工程を考慮した加工を行うことが重要です。
- ボール盤加工(利用設備:ボール盤・マシニングセンタ)
ボール盤加工は、回転する工具(ドリルやタップ)を使用して、金型プレートに穴を開ける技術です。ボルト穴やピン穴、ねじ穴などの加工に広く利用され、金型の取り付けや精度を左右する重要な工程です。従来は、専用のボール盤が主に利用されていましたが、近年ではCNC機能を持つ マシニングセンタ が多く採用されています。これにより、穴あけ作業と他の加工工程を一括して行えるようになり、生産効率が向上しています。
従来のボール盤では、人の手で位置決めを行うため、単純で安定した加工が得意です。一方で、マシニングセンタを使用することで、穴の位置や深さをコンピュータ制御で正確に加工することが可能になりました。これにより、複雑な穴配置や異なる径の穴を一度に加工するといった柔軟性が実現しています。
金型プレートにおける取り付けボルト用の穴や、ガイドピン用の位置決め穴の加工が主な用途です。どの工程にも言えることですが、穴あけ加工では、穴の直径や深さの精度を高く保つことが求められるため、穴あけ後の寸法検査は重要です。

弊社所有のAMADA DV-1 プロファイルグラインダー
- 研削加工(利用設備:平面研削盤・円筒研削盤・プロファイルグラインダー)
研削加工は、砥石(といし:硬い粒子でできた回転工具)を使用して金属を削り、高精度な仕上げを行う技術です。金型プレートの基準面や重要な接触面を滑らかに仕上げるために不可欠な加工であり、平面や曲面など、さまざまな形状の仕上げが可能です。
前述の通り、上型・下型プレートの製造では振動の抑制やズレを防ぐために、基準面の高精度な仕上げ加工が求められるほか、ガイド穴や取り付け面の最終仕上げにも利用されます。また、寸法公差が0.001mm以下といった高精度が求められる部品に最適です。

弊社所有の放電加工機群(西部電機 MM500S等)
- 放電加工(利用設備:放電加工機・ワイヤーカット放電加工機)
放電加工は、電極とワークピース(加工物)の間に高電圧の放電を発生させ、そのエネルギーで金属を除去する加工技術です。硬質材料や複雑な形状の加工に適しており、高速度鋼など、一般に難削材と呼ばれる金属の加工も求められる金型プレートの製造において重要な役割を果たします。
弊社では、計7台の放電加工機を保有しており、ワイヤーカット放電加工機から、細穴加工を行えるマシンまで、豊富に取り揃え、高品質な金型プレートや、金型関連部品を製造する体制を整えております。
ワイヤーカット放電加工機について、補足すると、ワイヤーカット放電加工機は、細いワイヤー電極を用いて金属を切断することが可能で、材料の硬度に依存しない加工であることから、金型製造に非常に向いている設備であり、ワイヤーカット放電加工機だけでも、弊社は5台揃えております。
また、最新鋭の放電加工機を弊社も取り揃えておりますが、最近の放電加工機は高速放電や表面仕上げの性能が飛躍的に向上しており、加工時間の短縮と高い寸法精度の両立が実現できつつあります。
ここでは、金型プレートの加工に用いられる加工技術や設備に関して、ご紹介しました。金型プレートの加工では、工具鋼と呼ばれる金属を加工するための硬度を有する金属材料を削る機会が多いため、特にマシニング加工などで用いるエンドミルやドリルなどの工具の選定や、必要に応じたカスタマイズの工具の開発等も要する場合もございますが、これについては、また別の機会に紹介できればと思います。もし、詳細が気になる場合はお気軽に弊社までお問い合わせください。また、弊社の保有設備に関しても、下記のページにまとめております。金型の製造とプレス量産に特化した最新鋭の設備を取り揃えているほか、検査の自動化などを実現するデジタル化も合わせて進めております。気になる方はぜひご覧ください。
弊社の金型設計・製作事例
それでは、実際に弊社が製作したプレス金型をご紹介します。弊社は順送型のプレス金型の製造を得意としておりますので、主に順送型を中心にご紹介します。
自動車/車載用センサー部品用金型




こちらは自動車/車載用センサー部品用のプレス金型となります。
弊社にて金型の設計・製作を行いました。
量産性が高いため、寿命設計にこだわっているほか、生産効率を上げるため排出部の設計にこだわっています。
また、求められる品質基準が高く、入念にトライアルを重ねて不良を最終製品の品質を高めた製品となります。
※適宜修正入れて頂けますと助かります。
金型サイズ[mm] | 350×1000×220[mm] |
個取り数 | 1個取り |
納期目安 | 約2ヶ月 |
業界・用途 | 自動車/車載用センサー部品 |
産業機器業界向け 電源用部品製造用順送プレス金型



こちらは電源用部品製造用のプレス金型となります。弊社にて金型の設計・製作を行いました。
2種類の形状がありますが生産効率の向上に向けて、並行で生産可能な2種共取り・多数個取りを可能としており、弊社の設計ノウハウを生かした製品となります。また、納期が1.5カ月の設計込みとなり、弊社が順送プレス金型の製造実績を多数保有しているため短納期が実現できております。
金型サイズ[mm] | 550×300×200mm |
個取り数 | 2個取り |
納期目安 | 約1.5ヶ月 |
業界・用途 | 産業機器・電源用部品 |
まとめ~金型プレートについて~
今回の記事では、製品の形状を加工するために必要な金型の基本構造を形成する、非常に重要な部品である金型プレートの構成や基礎知識、材料や加工技術について解説しました。金型の設計・製作は、プレス量産における最終製品の品質と生産性を大きく左右するため、非常に高度な技術が求められ、中でも金型プレートはは金型全体の支持・保持、加工時にかかる力の分散、部品間の正確な位置決めなど、多くの役割を担う重要な構成要素であるほか、プレス量産では大きな力が加わるため金型には特に高速生産を行う場合には耐久性も求められるため、加工する製品の材料と製品の設計内容、金型設計内容やプレートに利用する材質の特性など幅広い知識・技術を熟知して取り組む必要があるため、求められるスキルのレベルは高いと考えています。もし、金属部品の量産等を考えていて、金型の設計製作の外注を考えている場合には、信頼できるパートナーであるか見極めるために、あらかじめの相談や打ち合わせを行うことは重要なプロセスの1つとなるかもしれません。
順送プレス金型.comを運営する弊社、株式会社三國工業所は創業以来、順送プレス専門メーカーとして金型の設計から、設計した金型を用いた量産対応まで、完全内製化にて豊富な実績を有しており、材料特性や高速量産に向けた高品質な金型設計を実現する高度な技術力、生産効率を向上させる工場のスマート化を積極的に進めていることを強みとしております。
また、弊社は業界トップクラスの豊富な最新設備を備えており、「短納期対応」や「公差が厳しい・難形状の製品の金型の設計」、「金型の設計・製作のみ(売り型)」と「量産対応(金型設計製作含む・金型支給の両者対応可能)」など、お客様の幅広いニーズに応えるサービスを提供しております。
プレス金型の設計・製作でお困りごとがございましたら、お気軽に弊社までご相談ください。